ひっそりと生誕100年を迎えていた神童がいた。『ラフマニノフを思わせる』との評判を得て、雄大でロマンティックな演奏で魅了したシューラ・チェルカスキーは1911年に生まれ、1995年12月27日に没した。
晩年は亡くなるまで来日して演奏会を開いたのだけれども、没して16年。話題に上らないのは寂しいものです。(写真の左側がチェルカスキー、右端はエミール・ギレリス)
29日には朝比奈隆が亡くなって指揮者の20世紀は終わったけれども、19世紀的ピアニストの最後はチェルカスキーが幕を引いた。レパートリーはオーソドックスなもので在ったけれども、チェルカスキーの演奏は一言で言えば『聴けば面白い』。『代表的な録音を・・・』と求められたら困るピアニストで、同じ曲でも二度と同じ弾き方をしない即興に満ちた演奏家であった。
とにかく退屈な演奏は無い。通俗名曲の中から内声を浮き立たせたりすることはもとより、ルバート、ダイナミクスで演奏している当人も楽しんでいた。そういう有り様って、好まれなくなったのでしょうか。
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