年末は今年も《恒例の第9》。昭和10年、日本コロムビアの要請で録音セッションを快く受け入れたワインガルトナー指揮ウィーン・フィルの晴朗な響きを聞いて良い年を迎えましょう。ワインガルトナーの作り出した音楽は、双璧と言えるフルトヴェングラーのドイツ風の重厚さとは、好対照の優美に流れる《第9》。これがウィーン的なベートーヴェン。戦後のウィーン・フィルの音も素晴らしいものでは在るけれども戦前のウィーン・フィルのしなやかで柔らかい絹の肌触りのような美音は、8枚のSP盤の両面に刻まれた音の記憶として、永遠に聴かれ続けていくのでしょう。
昨年の例会の録音を聞き直してみたら、第2楽章にスポットを当てて解説をしていました。その中で第1楽章について、ワインガルトナーの演奏は第1楽章を聴いただけで、先を聴く気持ちがだれてしまう。と言っていました。
これは言葉の選び方を間違ったな。平易な表現をしようとして、演奏の方を突き放してしまった。第1楽章だけでおなかいっぱいになってしまって、休息したくなると言えば良かったようです。その前は第3楽章の美しさを注目して貰っているので、今回は第1楽章を全曲じっくり聞きたい。
その行方次第になるので、第4楽章は最初の面をはしょるかもしれません。なにぶんにも8枚組、16面ですのでレコードだけを聴いても予定時間には治まりません。解説は最小にしていても、何かと補足したいこと最新情報があるので8面分が限界なのが口惜しいところです。
昨年、第272回蓄音器でレコードを楽しむコンサートの時の再生音です。SP盤をVICTOROLA蓄音器で再生。レコードに針を落とす音、例会参加者の話し声、物音も所々に聞き取れます。
再生はこちらで
- 英COLUMBIA LX 413 (第1面)
- ワインガルトナー指揮、ウィーン・フィル
- 1935.2.2-5,Musikverein,Wien
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