愛の楽章。と言われても居るので、『ロマンティックなクラシック名曲集』などと称したCDに選曲されていることが多いのがマーラーのアダージェット。ウィーンの宮廷劇場の指揮者としてステイタスのあったマーラーが、19歳年齢の開きのある恋愛をした。
それはそれはロマンティックな愛のエピソード。に、思える。でも・・・
でも、である。芸術家の創作と精神、実生活は別物である。と言う見方は絵画や映画などでは『当然だ』の見方が一般的にも成される。
それがとかくクラシック音楽となると、どうだろう。『愛の楽章』とは当時マーラーが作曲していた『交響曲第5番』の第4楽章のアダージェットで、ヴィスコンティが『ベニスで死す』で使って一躍クラシックのヒット曲となった。この《アダージェット》にあるのはエロスの陶酔だ。そういった意味では『ロマンティックなクラシック名曲集』にふさわしい、それならばベルリオーズの“野辺送りのワルツ”だって同様だろう。しかし《アダージェット》は癒やしには向かないと、わたしは考える。
この楽章の和声は『倚音』で成り立っています。『倚音』とは、落ち着かない不協和音で、焦燥感を募らせる。それがエロティックな“あえぎ”になるのだけども、強迫観念を更に促進させる怖さがある。切迫感と閉塞感。音楽リテラシーの処方次第なのではあるけど、気づかずに神経を追い詰められているCDの購入者が居ないと良いと思う。
このマーラーの『交響曲第5番』は第1楽章では、冒頭がメンデルスゾーンの『結婚行進曲』を異質化したもので在るし、ベートーヴェンの『運命』、『英雄』の変形したリズムがちりばめられている。全体の構造はバッハの管弦楽組曲第3番のパロディーである。マーラー入門にはわかりやすいし、ファンも多い。しかし、クラシック音楽のコアな愛好家達が好んではいない音楽でもあることは一面である。
今夜はチキンカレーを作りました。ひなたぼっこは心地良いのだけれども、日中でも肌寒くなったからご飯をお昼に炊きました。カレーも午後5時に作り始めた。表はもう暗いので夜が来るのが早い。日中に出来ることが1時間短くなった感じで、せわしさを感じてきました。
マーラーの《アダージェット》で拍車もかかってしまいました。
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