松下奈緒 Moonshine〜月明かり〜

12月13日午後7時から2時間放送されたクラシック音楽探訪、BS日テレ「メンデルスゾーン幻想」で、ナヴィゲーターをしてくださった松下奈緒さん。
 番組中でのお召し物は素敵で、つい目を奪われていました。くわえて着こなしも歩き方も背景に映える仕草で素敵でした。
 背景に過ぎていく、メンデルスゾーンゆかりの風景。フェーリックスが、ファニー・ヘンゼルが暮らしていた頃にあったそのままのものもあったのではないかしら。
 松下奈緒さんがファニー・ヘンゼルの日記を朗読した時に、傍らにあった古い樹。ファニーも触ったのかも知れない。

 ああ、良いなあ。

 ファニー・ヘンゼルの数は多くなくても、ピアノ曲、歌曲はどれもキラキラ、さらさらと絹触りのよう、細くても強い力が宿っています。女性らしいしなやかな旋律。起承転結のしっかりした運びの音楽。モーッアルトやフェーリックスのように、ひらめきを感じる跳躍はないものの、男性音楽家と違ったセンス、柔らかで日常的に品の良い調度品のようで大好きです。

 番組中で、ファニー・ヘンゼルの音楽性を開花させた存在としてゲーテが紹介されました。ゲーテの詩の視点。男性の目線で世界を見た言葉ですね。今回改めて、わたしがゲーテの詩に関心を抱くのか、わたしにはどうしても書けそうにない視野だからかも知れません。


 41歳で若い華を散らしたファニー・ヘンゼル。突然の病でした。「音楽はフェーリックスのもの」、「女であるファニー・ヘンゼルには飾り物でしかない」とお父様に諭されて一時は後ろへ下がったファニー・ヘンゼルでしたが、お父様が亡くなったあとに作品集を他の作曲家と5人と共に出版。その中で、ファニー・ヘンゼルの作品を評価されたことはどんなに嬉しかったことでしょう。
 それから書き綴った曲と楽譜。少なかったかも知れません、短かったかも知れません。でも、素晴らしい時間を享受されましたよね。

 松下奈緒さんのお洋服に目を奪われ、ファニー・ヘンゼルの音楽に耳をとられ、メンデルスゾーン姉弟が過ごした街並みに心ひかれたひとときでした。


 仲道郁代さんが、ブラームス、シューベルトを縦糸に、フェーリックスとファニー・ヘンゼル、クララとロベルト・シューマンを綾なした一枚の「ロマンティック・メロディー」。
 このCDを聞いたことは、クララ以上に、ファニー・ヘンゼルの作品を探して聞く歓びをわたしに与えてくれました。


 歌のない歌曲集。「無言歌集」。メンデルスゾーンが創案したと評され、代表作であるピアノの小品曲集。「無言歌集」というピアノ曲の発想には、ファニー・ヘンゼルの考えが大きく働いていたと言います。そして、「無言歌集」として出版された中に、ファニー・ヘンゼルの作品と言われるものも今では評価されていると言います。
 ベニスの舟唄と題された曲のほか、題名が同じものが何曲もありますよね。同じ題材で二人の姉弟が書きあった共作なのかも知れません。

 番組中で披露された、松下奈緒さんのピアノ曲「Balloon」も闊達で頼もしい、姿を感じる女性らしいセンスの音楽でしたね。(この投稿は、Jugem「クラシック音楽を楽しむアマデウスレコード」投稿記事の下書きです)

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