《探偵アマデウスレコード名盤エッセイ》不滅の指揮者、不朽の名盤 - 11月30日は、ドイツの指揮者フルトヴェングラーの命日。

映画女優だとオードリー・ヘプヴァーン。生前の彼女のことは知らない、いつ死んだのかなんてのも実感は無いという若い映画ファンでも、チャーミングさでは屈指の女優さんだとは認識しているようですが、肝心の映画作品となると『ローマの休日』よりも『戦争と平和』らしい。何でもモノクロの映像にはリアル感を感じられないからだと言うことでした。確かに回想のシーンをモノクロにしたり、ガタピシとしたノイズを加えた映像演出が常套句となっている現代の映像手法。全編モノクロだと、冒頭から何かの回想シーンかと思い込んでみていることもあるのでしょうね。

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音楽も似ていて、「モノーラル録音は面白くない」という声が聞こえる。それでもフルトヴェングラーが死んで、最早50年とは言わない時間が経過している。それなのにCD化された戦争前後の録音が、今もって売れているのは『モノーラル録音は面白くない』というのではなさそうね。

11月30日は、ドイツの指揮者フルトヴェングラーの命日。不滅の指揮者という称号が唯一に合う音楽家でしょう。帝王カラヤンとフルトヴェングラーは、数百年、数千年後に人が指揮棒を振って音楽を作らない時代になっても“指揮者”というのはこういう動きをしていたと歴史博物館のスクリーン投影されて説明されているかもしれない。などと空想を馳せてしまうのも、フルトヴェングラーのけして明瞭で優れた音質ではない、くぐもっていて遠くから届いてくるような音だから感じてしまっています。

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ウィーン・フィルとベルリン・フィルとでは相違点もあるのだけど、正直なところ最もわかり難い指揮棒を振る指揮者だったと当時の演奏家が回想しています。ウィーン・フィルではコンサートマスターにあわせていたとか。なんだか棒を振り回しているうちに音楽が始まっちゃった、と言った風。真逆を言っているようだけど、指揮棒を下向きに振るって半眼のカラヤンも同様だと言えそうですね。“右手は指揮棒を持って音楽のテンポやリズムを指示し、左手で音楽の高揚など感情を表現する”というのが指揮なのだけど、教科書にはあるけど時代を同じくしている音楽家同士、今日はこの楽譜の音楽をどういう風に観客に感動させようと言った共鳴が指揮者と演奏家それぞれが持っていた時代の録音は力がある。

フルトヴェングラーのベートーヴェンで一番印象的なのが、ティンパニーの連打だ。カラヤンは楽譜にある程度にアクセントとするのだけど、フルトヴェングラーは感情の爆発のようにドラムロールさせる。

ベートーヴェンの《運命交響曲》が良く比較演奏に引き合いに出される。冒頭のダ、ダ、ダ、ダーンが、ダ、ダ、ダ、、、、、、、ダーーーーーーーーーーーーンとタメと粘りがあるのが初心者にもわかりやすいからだけど、第2楽章の終結部での間合いもまた、癖強い。音楽が失速してしまったようで、居眠りしていた観客が居たら間違って拍手でもしかねない感じですね。

フルトヴェングラーの《運命交響曲》の最も勘所は、第3楽章では無いかとわたしは思っている。第4楽章への踏切の準備にかかる前の中間部は他では滅多に聴けない。軍楽調のフレーズを音楽として何か訴えてくるのはフルトヴェングラーが一番ではないでしょうか。カラヤンでも流ちょうで、楽器の響きが美しすぎる。イタリア系指揮者は歌いすぎる。最近の若手はあっさりと通り過ぎる。終楽章の爆発のためのためではあるし、カラヤンは録音ハンデを、この第3楽章を徐々にディミニエンド気味にすることで録音レベルがオーバーにならない美しい終楽章を録っている。

 

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  • 重量盤★フルトヴェングラー、ワーグナー:序曲、前奏曲集 
  • レーベル:独 ELECTROLA 
  • レコード番号:E 90023 
  • オリジナリティ:レッド・ラベル 
  • 曲目:ワーグナー:タンホイザー序曲、さまよえるオランダ人序曲、ニュルンベルクのマイスタージンガー前奏曲
  • 演奏:指揮: ウィルヘルム・フルトヴェングラー、管弦楽:ウィーン・フィル

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